サーフムービーDear & Yonder 監督:ティファニー・キャンベル/アンドリア・レスラー 来日インタビュー

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「ディア・アンド・ヨンダー」監督:ティファニー・キャンベル/
アンドリア・レスラー DVD発売記念インタビュー

5月末にグリーンルーム・フェスティバルで一般上映され話題を呼んだ、サーフフィルム『Dear and Yonder』。同作は、女性目線のサーフフィルムとしては、これまでになかった斬新なアプローチとアート性の高い作風ゆえに、そのクオリティの高さが世界中で評価されている作品だ。

グリーンルーム・フェスティバルでの上映にあわせ初来日を果たした監督のティファニー・キャンベルとアンドリア・レスラーに、改めて作品の魅力を語ってもらった。

※こちらは上記のフラッシュでのページがご覧になれない方のためのものです。

SM:製作期間に数年を費やして完成した『Dear and Yonder』だけど、改めて自分たちの作品を振り返って、思い入れや感想を聞かせて。


ティファニー(以下T):無事にすべてが終えられて、ただただホッとしているわ。創りあげたものには本当に満足している。是非できるだけ多くの女性にこのフィルムを観てもらいたいし、何かを感じとってもらいたい。

アンドリア(以下A):制作中は、このフィルムがどう受け止められるかが心配だったけど、みんながこのフィルムから新しい何かを発見できたって言ってくれたから、最高の気分。作品を通して、多くの人と何かを共有できたことがとても素晴らしかった。

SM:ところで『Dear and Yonder』という作品のタイトルには、どんな意味が込められているの?

T:タイトル名はフィルムの中のロケーションと関係しているの。ある場所は女の子たちがいつもサーフィンしている場所で、ホームブレイク。彼女たちが常に心から大切にしている場所ね。これが、“Dear(=大切な)”。一方で異なるカルチャーや風景がある遠く離れた場所へもロケに行ったわ。彼女たちが滅多に訪れる機会がない、もしくは初めて訪れる場所。それが、“Yonder(=あそこの)”。サーファーにとって、どちらもサーフィンライフを豊かにする上で欠かせないものなの。

SM:ふたりにとって長編サーフフィルムの制作は初めての挑戦だったようだけど、フィルムを撮るきっかけは何だったの?


T:何年か前、私たちは女の子向けに作られたサーフムービーを見ていたんだけど、その出来があまり良くなかったので「誰か、もっと良い映画をつくるべきよ」ってお互い話してたの。でもある日、「私たちができるんじゃない?」って気づいた。私たちのコミュニティにはクリエイティブなアーティストやフィルムメーカーがたくさんいて、彼らも手助けしたいって言ってくれたわ。「だったら、作ろう!」って。

A:どうせ作るなら、私たち女性サーファーが何者であるかを象徴する作品を作りたいと思ったの。私たちの人生やリスペクトしているものを反映する作品を目指そうってね。もちろん、女性のサーフィンのレベルの高さも見せたかった。私もティファニーもコアなスケートボーダーで、スケートのコミュニティで育ち、その後サーフィンにシフトしていったのだけど、はじめ、サーフィンのコミュニティに対してはとてもワクワクしたのを覚えている。さまざまな経験を共有、共感できるコミュニティだったから。だから、このフィルムを通して、私たち女性サーファーの人生そのものをみんなとシェアできたら嬉しいと思ったの。

T:フィルムに登場する女性サーファーたちのサーフィン以外の側面、たとえば暮らしや人生を見せることが重要だと考えたの。だから登場する女性たちはみんな、サーフィン以外の何かを持っているでしょ。アシュリー・ロイドはシェイパーでもありミュージシャンだし、ベリンダ・バグスはボードショーツを作っているし、リズ・クラークは世界中を航海している遠洋航海士。彼女たちの私生活と同時に、環境に対する意識や地球への配慮もフィルムの中では見せているの。たとえばベリンダはヴィンテージの布地をリサイクルしてショーツを縫っているし、アシュリーは植物由来のフォームを削ってサーフボードをつくっているといった具合に…。

SM:リズ・クラークやジュディース・シェリダンなど、精神的にタフな女性像も描いているね。他の女性向けフィルムと決定的に違う点だと思うけど、彼女たちの起用にはどんな意図があった?


T:それは、私たちがフィルムを作った理由のひとつでもあるの。他のフィルムでは私たちが興味を持てる女性の姿を観ることができなかったから…。サンフランシスコのオーシャンビーチのボディサーファー、ジュディースはマーベリックスの大波にも乗るコアな女性。物理学者でもある彼女は地元のカルトヒーローって感じで、私たちは彼女から刺激を受けていた。ハードコアだけど、とても優美。リズの活動にもずっと刺激されてきた。このふたりの物語はとても力強いストーリー。私たち自身が、彼女たちが挑戦し続けているその姿と人生に魅了されたの。

A:人としてのいろんな面を見せたいと思った。航海の孤独や恐怖と戦うリズや、病気を発病して葛藤するジュディース。生身の彼女たちが限界を越えようとしている姿を見ることで、みんな刺激を受けると思うの。とにかく私たちはできる限りいろんなタイプの女性サーファーやコミュニティ、世界中にいるさまざま女性たちを見せたかった。彼女たちは、ワールドツアーに参戦しているサーファーの女の子たちのように注目はされないけど、同じように興味深い存在だし、勇敢で大胆で、そして何よりも魅力的なのよ。リズは真のウォーターウーマン。いかりを上げるために60フィートも潜っちゃうの。脱帽よね。

SM:冒頭の女性サーフィンのヒストリーを紐解くパートは、いままで知らなかった女性サーフィン史がよくわかる内容だよね。

T:当初は3分くらいの予定だったのだけど、ナレーションを聞きやすくするために映像の部分を増やしたりして、何度も編集で手を加えた結果、冒頭の重要なパートになった。オーシャンサイドにある「カリフォルニア・サーフィン・ミュージアム」のキュレーターのジュリー・コックスが歴史的な写真や資料の収集のために協力してくれたの。私の夫のトーマス・キャンベルも私たちが知らないサーフカルチャーや歴史的なことをサポートしてくれた。

SM:トーマスの協力は、撮影や編集の面でもかなり大きかったようだけど?


T:私たちも撮影するけど、とくに水中映像はトーマスのフィルム作品で仕事をしている一流の水中シネマトグラファーたちが協力してくれたわ。最終的に全部で100時間以上の映像を撮ったの。だから編集は大変。編集に2年かかったわ。トーマスも手伝ってくれたけど。でもできる限りビデオではなくフィルムにこだわって撮影したので、温かみのある魅力的な画質の作品に仕上がったと思う。

A:予算的にもフィルム撮影はコストがかかるの。全部ビデオでも良いんじゃないかと思ったけど、トーマスとティファニーは極力フィルムで撮ることにこだわった。でも実際に映像を観て、フィルムで撮影できて本当によかったと思っている。

SM:世界各地でプレミア上映をしてきたわけだけど、この作品を観てくれた人たちの反応は?


T:すべてのプレミアで上映が終わるたびに、多くの女性が私たちのところに来て「これこそ望んでいたもの!」とか「この映画で探していたインスピレーションを得られた。ありがとう」って感謝されたわ。とくにジュディースやリズのストーリーは人々の心に触れるものだったみたい。彼女たちの生き方はサーフィンという枠を越えて、みんなの興味を引き、共感させる力があるから。

A:そう、その反応は男性たちも同様だったわ。私たちが魅力的だと感じた彼女たちや他の女の子のストーリーをみんなと共有できたことは本当に嬉しい。それは、サーファーか否か、女性か男性かに関係なく、普遍的なものなんだとわかった。そんなみんなの反応が聞けて、最高だったわ。

SM:いまカリフォルニアでは、オーシャンサイドの「カリフォルニア・サーフィン・ミュージアム」で女性のサーフィン史の企画展“WOW(Women On Waves)”が催され、ビング・サーフボードからはアシュリーのシェイプする“Dear and Yonder Model”がリリースされるなど、このフィルムからカルチャー、クラフト、アートがさまざまな企画として派生しているけど、この現象をどう思う?


A:たしかにムーブメントは起きていると思う。実際私たちはフィルムを通して、サーフィンに関わっている多くの女性たちと繋がりを持つようになった。ひとつのプロジェクトの周りに築かれた関係が息づいていくのを感じられるのは楽しいし、このフィルムが女性サーファーのコミュニティ全体に受け入れられているという気がするわ。

T:自分がエネルギーを注ぎ込んで世に送り出したものが、何か勢いを生み出しているとしたら、それはとても嬉しいこと。この作品を観た女の子たちが、自分も映画を作ってみようとか、雑誌を作ろうとか、海やサーフィンだけでなく、自分を表現できるいろんな道を探ったり、コミュニティやムーブメントを作ったりしてくれたら、本当に嬉しいわ。

SM:最後に、あなたたちにとって理想の女性サーファー像とはどんな人?


T&A:本当に自分の心に従っている人だと思う。サーフィンにおいて自分がやりたいことをやっている女性。何かに制限されることなく、自分自身であるために思い切って挑戦できて、水の中でサーフィンやすべての経験を楽しむ人が理想だと思うわ。


これまでの女性サーフムービーにありがちな、ステレオタイプのサーファーガール像のみを踏襲する作品とは一線を画す『Dear and Yonder』。グレースフルなロングボード・サーフィンから、ショートボードの最新アクション、サーフボード・クラフトやアート、そしてアドベンチャーまで、このフィルムは女性が発信するリアルなライフスタイルとエネルギーに満ちあふれいてる。

アーティスティックでアカデミックな作風のなかにコアメッセージが込められた本作には、ティファニーとアンドリアが語る通り、女性のみならず誰もが共感できる普遍的価値観が綿々と流れているのだ。多くのサーファーの心を引きつける理由は、そこにある。

profile:
ティファニー・キャンベル 1975年、サンディエゴ出身。スケートとサーフィンをこよなく愛し、その縁で夫トーマス・キャンベルとも知り合う。ビデオ制作、写真、原稿執筆などマルチに活躍。アニマルトレッキングのエキスパートでもある。9'6"のミッシェル・ジュノーのロングボードを愛用。サンタクルズのプレジャー・ポイントのセカンドピークがお気に入りのブレイク

アンドリア・レスラー 1978年、ノースキャロライナ出身。オーストラリアやオレゴンのオーガニック農園で働きながら自然体で過ごした後、現在はサンフランシスコ在住。ベーカリーの共同オーナー。スケートからサーフィンまでコアに遊ぶ。リッチ・パベルの5'4"クアッド・フィッシュがお気に入りで、サンフランシスコのアービング・ストリートがホームブレイク

最新サーフ・ドキュメンタリー・ムービーDVD「Dear & Yonder」8/4(水)発売。

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販売元: ポニーキャニオン
2009年/アメリカ/発売元:レイドバックコーポレーション
品番:PCBE-12326/¥4,935(税抜価格¥4,700)
本編73分 カラー DOLBY DIGITAL 日本語字幕


●8月4日(金) パタゴニア大崎 上映予定
※入場料¥1,000 (1ドリンク付き)

8月4日(水)20:30〜 ゲートシティ大崎ストア(要予約:定員80名)
【お問合せ】パタゴニアでの上映に関するお問合せ
各開催ストアまで www.patagonia.com/japan

○この作品に関するお問合せ
レイドバック・コーポレーション 
TEL:0467-25-6260 Email:admin@laidback.co.jp

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