インターネット上で、資金を集めるクラウド・ファンディングはサーフカルチャー新興の一助となるか?。(12/5)
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ひと昔前までは考えられなかったようなことが、次々とオンラインで可能になっている昨今。ネット上のサービスは、社会のあり方や常識を確実に変えつつある。ファンド・レイジング(資金調達)の分野においても、アメリカでは2000年代後半からクラウド・ファンディングというシステムが台頭してきている。これはインターネット上で自らの企画をプレゼンし、不特定多数の投資家から資金を集めるというもの。資金を求めるプレゼンテーターは、期限内に事前に設定した目標金額に出資金が達すれば資金を受け取ることができるが、達成しなかった場合はご破算になる。資金難に悩む起業家やクリーターたちにとって、極めて有用なシステムといえそうだ。
出資者や投資家などという言葉は、一見するとサーフィンの世界とは無縁のように思えるが、それがそうでもない。サーフィン界でも日常的に小規模なプロジェクトが世界中で企画されている。しかし資金が足りず頓挫することも少なくないだろう。そうしたサーファーたちにとっても、このシステムは大きな助けになるはずだ。実際、サイラス・サットンが主宰する「Korduroy TV」が、今このクラウド・ファンディングのシステムを利用して来年度以降の動画制作の運営資金をネット上で募っている。サーフメディアのインタビューでもサイラスは「Korduroy TV」のさらなる充実を目指すと語っていたが、いよいよ2012年に向けて本格始動するようで、そのための資金集めだ。
「Korduroy TV」は、昨年SURFER誌がウェブ上で企画した「Battle of the Blogs(サーフィン系の人気ブログをトーナメント形式で読者のオンライン投票により競わせる企画)」において見事に優勝を飾ったウェブメディア。いわゆるコンペや商業主義の世界とは一線を画し、オルタナティブな視点で編集・発信されるサイラスならではのユニークな動画コンテンツが人気のこのメディアは、世界中のサーファーから厚い支持を得ている。優勝はその証だ。才能あるサイラスの人気ウェブメディアだけに、全世界のサーファーがこのシステムを通して「Korduroy TV」に出資することは間違いないだろう。もちろん日本からも出資ができる。それがオンラインの素晴らしいところ。
通常クラウド・ファンディングでは、出資額がいくつかの段階に分かれているため、出資者は好きな額を選択し寄付できる。さらに出資者への何らかの特典が見返りとして明確に示されているのが一般的だ。「Korduroy TV」の場合、最低額の5ドルならステッカーのパック、25ドルなら限定Tシャツ、50ドルなら35分のフィルム、そして最高額の1,500ドルの出資者には、カーディフやスワミーズでのサイラスとの2日間のサーフセッション権や2泊の宿泊、フィルムメイキングやフォトグラフィー、ウッドワーキング、そして「Korduroy TV」クルーが提起するサステイナブル・サーフについてのワークショップ参加権などが与えられる(渡航費は含まず)。ファンにはたまらない特典だ。ちなみにKorduroy TVの目標額は18,000ドルで、期限は2012年1月13日(アメリカ現地時間)までとなっている。
このクラウド・ファンディング、いまやアメリカでは映画や音楽の分野で頻繁に活用されていてる。「Korduroy TV」が利用しているのはkickstarter.comというサイトだが、最近のサンダンス国際映画祭に出展された作品中5作品がこのサイトを使って資金を得て制作されたというから、クリエーターにとっては心強い。日本では東日本大震災を契機にネットでの資金集めの新機軸として今年から注目を集め、同種のサービスの国内サイトが続々誕生している。
不況の折、サーフィン界の各分野でも資金調達やスポンサー確保に苦慮するという声を耳にするが、クラウド・ファンディングの活用は一考に値するのではないだろうか。たとえばサーフフィルムの制作費やイベントの開催費、さらにコンテストや若手サーファー育成プログラムの運営費など、活用対象となりうるものは少なくないだろう(ただし各サイトの審査をクリアする必要あり)。そして、サーフィンの文化振興に寄与する価値のある有意義なプロジェクトに対し、企業ではなく、賛同・共感する一個人が資金を提供することが可能なのである。資金を求める人と応援・支援したい人を繋ぐネット時代の新システム。アメリカのサーファーたちはすでにこの新しい波に乗り始めているが、日本のサーファーはどうか。サーファーとして乗れる波を逃す手はない。
「korduroy.tv」のクラウド・ファンディングのサイト。興味ある人は出資してサポートしてみるのも良いだろう。
http://www.kickstarter.com/projects/korduroytv/korduroytv-2012-shows
http://www.korduroy.tv/
文:冨田隆

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